コラム

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2025年02月18日

リストカットと自己肯定感について

リストカットと自己肯定感について 最近、若者の間でリストカット(自傷行為)をする人が増えているという報告があります。リストカットは単なる「痛みを感じるための行為」ではなく、心の奥深くにある不安や孤独、自己否定感の表れであることが多いです。特に、自己肯定感が低い人ほど、自傷行為に走りやすいと言われています。 なぜリストカットをしてしまうのか? リストカットをする理由は人それぞれ異なりますが、共通しているのは「心の痛みを和らげるための手段」としての側面です。 1. 感情のコントロールが難しい 怒り、悲しみ、不安、孤独などの感情が抑えきれず、それを外に表現する手段としてリストカットをしてしまう。 2. 生きている実感が欲しい 自分の存在を実感するために、痛みや血を見ることで「自分はここにいる」と確かめようとする。 3. 助けを求めている 誰かに気づいてほしい、理解してほしいという無意識のサインとして、自傷行為を繰り返してしまう。 4. ストレスやプレッシャーの解消 学校や家庭、友人関係の悩みなど、強いストレスを感じたときに、一時的に心を落ち着かせる手段として行う。 自己肯定感との関係 自己肯定感とは、「自分には価値がある」「自分の存在を大切に思える」という感覚のことです。リストカットをする人の多くは、この自己肯定感が低い傾向にあります。 「どうせ自分なんて…」という思いが強い 周囲の期待に応えられないと感じる 「自分が傷つくのは仕方ない」と思ってしまう 他人と自分を比べてしまい、自分を責める 自己肯定感が低いと、「自分を大切にする」という意識が薄れ、逆に自分を傷つけることでストレスを発散しようとしてしまいます。 リストカットをやめるためにできること リストカットをやめるためには、単に「やめなさい」と言われるだけでは解決しません。大切なのは、 ✅ 自分を受け入れること 「完璧でなくてもいい」「ありのままの自分を認める」と少しずつ意識する。 ✅ ストレスを別の方法で発散する 運動やアート、音楽、日記を書くなど、自傷以外の方法で感情を発散する。 ✅ 誰かに話す 信頼できる友人や家族、カウンセラーに気持ちを話してみることで、心が軽くなることも。 ✅ 小さな成功体験を積む 「できた!」という経験を増やすことで、自己肯定感を少しずつ高めていく。 さいごに リストカットをしてしまうのは、決して「弱いから」ではありません。心の痛みをどうにかしようと、一生懸命もがいている結果なのです。でも、傷つけなくても心が軽くなる方法は、きっとあります。 「自分をもっと大切にしていい」—そう思えるように、少しずつでも前に進んでいきましょう。あなたはひとりではありません。 特定非営利活動法人こころ和み カウンセリングルーム こころ和み 〒757-0002 山口県 山陽小野田市 郡 398番地23 電話番号:0836-43-9463 メールアドレス: shinri@kokoro-nagomi.jp 営業時間:10:00~22:00 グループホーム豊田(認知症対応型共同生活介護) 〒750-0441 山口県 下関市 豊田町 中村 7-1 電話番号:083-757-0058 メールアドレス:grouphome.toyota@alpha.ocn.ne.jp

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2025年02月16日

vol.3若者のOD(オーバードーズ)と家族環境・愛着障害の関係について

3. ODを防ぐために必要な支援 若者のODを防ぐためには、単に「薬をやめさせる」だけではなく、背景にある心理的な課題にアプローチすることが不可欠です。 (1) 安心できる居場所の提供 「否定されない環境」:話を聞いてもらえる場所(カウンセリング、ピアサポートなど) 「自分を受け入れてもらえる感覚」:ODを責めずに、本音を話せる関係性を作る ➡ 「ここに来れば大丈夫」と思える場所が必要 (2) 感情調整のスキルを学ぶ 自分の感情に気づき、それを言葉にするトレーニング ストレスを感じたときに、薬以外の方法で対処できるようにする(認知行動療法など) ➡ 「薬に頼らなくても大丈夫」と思える力を育む (3) 家族へのアプローチ 親への教育:「愛着の問題」を知ってもらい、関係の見直しを促す 家族カウンセリング:過干渉・無関心な親の対応を改善 ➡ 「家族のあり方を見直し、本人が安心できる環境を作る」ことが重要 (4) 若者が自己肯定感を持てる支援 「何かに挑戦し、成功体験を積む」ことが大事(就労支援、趣味の活動など) 他者とのつながりを作る(地域活動、ボランティア、オンラインコミュニティなど) ➡ 「自分は生きていていい」と思える機会を増やす 4. こころ和みでできること こころ和みの活動として、若者のOD支援を組み込むことは、メンタルヘルス支援の幅を広げる良い機会になると思います。 🏡 考えられる取り組み OD・自傷行為をしてしまう若者向けのカウンセリング 安心できる「居場所」作り(コミュニティスペースやオンライン相談) 家族向けの講座(愛着障害や家族関係の改善方法を学ぶ) OD経験者のリカバリー支援(社会復帰プログラム) まとめ ODを繰り返す若者の多くは、「本当に助けてほしいけど、どうすればいいかわからない」状態です。 その背景には、家庭環境や愛着障害など、根深い問題が隠れていることが多いと考えます。 だからこそ、単に「薬をやめなさい」と指導するのではなく、 「なぜODをしてしまうのか? どうすれば心の安心を得られるのか?」を一緒に考える支援が必要だと思います。     特定非営利活動法人こころ和み カウンセリングルーム こころ和み 〒757-0002 山口県 山陽小野田市 郡 398番地23 電話番号:0836-43-9463 メールアドレス: shinri@kokoro-nagomi.jp 営業時間:10:00~22:00 グループホーム豊田(認知症対応型共同生活介護) 〒750-0441 山口県 下関市 豊田町 中村 7-1…

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2025年02月12日

vol.2若者のOD(オーバードーズ)と家族環境・愛着障害の関係について

  2. 愛着障害とODの関係 愛着障害とは、幼少期に適切な愛着形成ができなかったことで、対人関係やストレスへの耐性に問題が生じる状態を指します。ODを繰り返す若者には、愛着障害の特徴を持つ人が多いと感じます。 (1) 愛着障害の主なタイプ 愛着障害には大きく分けて以下の2つのタイプがあります。 ✅ 回避型(愛着回避) 「誰にも頼れない」「どうせ人は自分を分かってくれない」と考える 感情表現が苦手で、他人との距離を取る 人前では普通に振る舞うが、内面では極度の孤独を感じている ➡ 薬(OD)に頼る理由:「感情を抑え込みすぎて、薬で一気に解放しようとする」 ✅ 不安型(愛着不安) 常に「誰かに愛されたい」「捨てられたくない」と不安を抱えている 過剰に他人に依存しやすい(恋愛依存、SNS依存など) 小さなことで情緒が不安定になりやすい ➡ 薬(OD)に頼る理由:「不安を感じると、自分を傷つけることで安心しようとする」 (2) ODと愛着障害のつながり 愛着障害を持つ人は、自分の感情を適切に処理する方法を学べていないため、薬を使うことで「安心感」や「現実逃避」を求める傾向があります。 💬 ODをすることで得られる一時的な効果: 「しんどい気持ちがなくなる」 「薬を飲めば眠れるし、考えなくて済む」 「これをやれば、誰かが自分を心配してくれるかも」 つまり、ODは「助けを求める手段」でもあるのです。 しかし、これは根本的な解決にはならず、繰り返しODをしてしまう悪循環に陥るケースが非常に多いです。 次回 3. ODを防ぐために必要な支援   特定非営利活動法人こころ和み 〒757-0002 山口県 山陽小野田市 郡 398の23 電話番号:0836-43-9463 メールアドレス: shinri@kokoro-nagomi.jp 営業時間:10:00~22:00

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2025年02月11日

若者のOD(オーバードーズ)と家族環境・愛着障害の関係について

1. 家族環境とODの関係 家庭環境は、子どもの心理的発達やストレス対処能力に大きく影響を与えます。特に以下のような環境では、ODに至るリスクが高まると考えられます。 (1) 過干渉・支配的な親 親が子どもの意思を尊重しない(過度な管理・期待) 進学・成績・進路のプレッシャー 「こうあるべき」という固定観念が強く、子どもの個性を認めない ➡ 結果:自己肯定感の低下、ストレスの解消手段として薬物に頼る傾向 (2) 無関心・ネグレクト(育児放棄) 親が忙しく、子どもへの関心が薄い 家庭での会話やスキンシップが少ない 精神的・身体的な虐待がある ➡ 結果:愛着障害が形成され、感情のコントロールが難しくなる ➡ 薬を使って「一時的にでも安心できる」状態を求める (3) 家庭内不和・機能不全家庭 夫婦間の不仲、DV(家庭内暴力)、親のアルコール依存など きょうだい間での差別や過度な期待 家の中が常に緊張状態で安心できる居場所がない ➡ 結果:「家にいても安心できない」ため、外の世界(薬・ネット・SNS)に逃避 ➡ ODによって「一時的にでもすべてを忘れたい」という欲求が生まれる     特定非営利活動法人こころ和み 〒757-0002 山口県 山陽小野田市 郡 398番地23 電話番号:0836-43-9463 メールアドレス: shinri@kokoro-nagomi.jp 営業時間:10:00~22:00

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2025年02月10日

若者のOD(オーバードーズ:薬物過剰摂取)について

1. 若者のODの背景と現状 若者のODは、以下のような理由で発生することが多いです。 ✅ 精神的な問題 うつ病、不安障害、発達障害(ASD・ADHD)などの精神疾患 自傷行為の一環としてのOD(リストカットと並行するケースも) PTSDやトラウマを抱える若者の自己治療的な薬物乱用 ✅ 社会的・環境的要因 家庭内の問題(虐待、ネグレクト、過干渉など) いじめ・学校不適応・社会的孤立 仕事や学業のストレス SNSの影響(「ODしてしまった」と投稿することで共感を得ようとする) ✅ 薬物へのアクセスのしやすさ 市販薬(かぜ薬、鎮痛剤、抗ヒスタミン薬など)の過剰摂取 処方薬(精神安定剤、睡眠薬、抗うつ薬など)の誤用 違法薬物へのアクセス 2. どのような薬がODに使われるのか? ODに使われる薬は、市販薬・処方薬・違法薬の3つに分類できます。 🔹 市販薬(手に入りやすいもの) かぜ薬(総合感冒薬):成分の「ジヒドロコデイン」「エフェドリン」などが依存性を生む 鎮痛剤(アセトアミノフェン):大量摂取で肝障害を引き起こす 抗ヒスタミン薬(アレルギー薬):過剰摂取で幻覚や意識障害 🔹 処方薬(医師の処方が必要なもの) 睡眠薬(ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系):依存症リスクが高い 抗うつ薬(SSRI、SNRI、三環系など):過剰摂取でセロトニン症候群のリスク 精神安定剤・抗不安薬(デパス、リーゼ、ワイパックスなど) 🔹 違法薬物(違法または規制対象のもの) 大麻・MDMA・覚醒剤など 海外で規制されていない薬を個人輸入して使用するケースも 3. ODの症状とリスク ODの症状は、薬の種類や摂取量によって異なります。 ⚠️ 軽度 ふらつき、眠気、集中力の低下 めまい、頭痛 吐き気、腹痛 ⚠️ 中度 意識障害、せん妄 血圧の急激な変動(高血圧・低血圧) 動悸、呼吸困難 ⚠️ 重度(命に関わる状態) 呼吸抑制(呼吸が止まりそうになる) 意識不明(昏睡状態) 肝不全・腎不全 心停止…